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タモ入れのコツ 危険水深と安全水深を理解する

この項目では、タモ入れのコツについて説明しています。
シーバスは、危険水深に急浮上させられると、水面付近で暴れたり、一気に水中へ潜ったりします。
また、横方向へ走ったり、水面に顔を出しエラアライをします。

以上の理由から、タモ網の準備が整うまで、安心水深で魚をキープする必要があります。
キープする方法は簡単で、下の項目で説明しています。



■一般的なタモ入れの流れ
ヒットした魚を船に寄せる場合、いきなり危険水深へ魚を浮かせぬよう注意し、魚の位置を常にイメージしながら少しずつ寄せてきます。
このイメージする事により、ラインを巻きすぎて水面付近で暴れる行動を防止できます。

ヒットした魚を船から2~4m付近に寄せた後は、 竿先を上に持ち上げる動作の後、リールを”ゆっくり”巻きながらロッドを下げる動作でライン少しずつ巻いてきます。
俗に言う、『ゆっくりした動作でポンピング』しながら魚を寄せてきます。

但し、早めのポンピングで寄せてくると、ロッドを下げた時にラインが緩みフックが外れる危険性があるので、ポンピングの動作はロッドを上げる時も下げる時も『ゆっくり』が基本です。
このポンピングで、魚の位置を常にイメージしながら、安心水深1~3mの場所へ浮かせてくるのがコツです。

この時、散々申し上げますが、魚の位置を確認せず一気に危険水深まで巻き上げると魚が暴れますので、フックが外れてバラシの原因となります。
ナイトゲームでは暗くて魚が見えないケースが多いので、デイ以上に慎重に魚の位置を確認しましょう。



①タモ入れのコツは、安心水深で魚をイナシて、タモの準備。
②安心水深で、魚に一息入れさせると、大人しくなる。
この安心水深で”いなす”のが重要で、魚に一息つかせることで大人しくなり主導権を握る事ができます。

タモの準備ができるまでは、安心水深で魚を泳がせておきましょう。
この”いなす”方法は、下の項目で説明しています。

いなすとは、
柔道用語:「いなす」とは、相手の想定しない方向へ体を急に動かすことで相手の攻撃をあしらうことです。これは組み手争いのときなどで頻繁に使われる重要なテクニックです。

③魚を安心水深から超危険水深まで一気に引っ張り上げる。
魚を水面に一気に抜き上げるにはコツがあります。
このコツについは、下の項目で説明しています。

■安心水深で魚に一息入れさせ、大人しくする方法!
魚の位置が確認できたら、下図の安心水深でキープさせる方法で魚を”いなし”、魚が大人しくなるのを待ちます。
キープとは、魚に一息つかせ、警戒心を緩め大人しくさせる事です。



”いなし”のコツは、ロッドを左右に傾け、魚をリードします。
リードできると、魚は自分が引っ張った方向へ頭を向け付いてきますが、嫌がっている時には、引っ張った方向と反対方向へ逃げようとします。

しかし、全ての魚が簡単にリードできるわけではありません。
私の経験では、約半数の魚が思い通りリードできず、魚が上下左右に逃げ回ります。



上図の対処方法は、暴れる魚を一時的に安心水深より少し深めの水深で落ち着かせることです。
落ち着かせる方法は、魚の動きに逆らわず、リールを巻く動作を一時的に止める事です。
そして、ラインテンションが緩む時は浮いてくる時ですので、緩んだラインを軽く巻きます。

釣り人の気持ちとしては、
「素早く取り込みたい!との気持ちと、
「タモを持ち横で構えている船頭に迷惑を掛けたくないので早く取り込みたい」
とがあると思います。

その焦る気持ちを抑えて、安心水深で一息つかせ”いなし”ます。
暴れた時の水深は少し深めが良く、”いなす”水深は、2~4m付近がお勧めです。

一息つかせる時間は色々で、5~10秒ほどで大人しくなる魚もいれば、15秒前後かかる場合もあります。
ヒットした魚がデカければデカいほど、早く取り込みたいと思いがちですが、ここは5~20秒の我慢です。



上図の様に、大人しくなると泳ぎ方が変わります。
上下左右に逃げていた魚が、一定水深で泳ぐようになったら”いなし”はホボ完了です。



魚の動きを犬の散歩に例えると簡単です。
犬にご主人様が引っ張られている状態が、主導権を握られている状態。
この時は、犬(魚)の動きに逆らわずラインを出します。

犬(魚)が暴れず、ご主人様に付いてくる時は、主導権を人間が握っている状態です。
この状態になったら、いよいよ取り込み開始です。



魚が落ち着くと上図の様に安心水深を泳ぎ、ロッドを左右に傾けると犬の散歩の様に魚が付いてくる状態になります。
この状態が確認出来たら”いなし”は完了です。
魚の位置を確認しながら、リールをゆっくり巻き、少しずつ安心水深1~2mまで引き上げてきます。



そして、魚の頭の方向がタモ入れのコースに向いた時、ドラグが出ないようにスプールを指で押さえて、一気に魚を水面に引き上げます。


抜き上げのコツ
①魚を泳がす水深を、1~2mで維持し、”いなし”ながら、魚の頭の方向をタモ入れのコースに向ける!

②魚のコースがタモの方向へ向いた瞬間、リールを巻きながらロッドの竿先を水面に向け、ロッドを上に立てるように一気に水面に抜き上げます。
この時、ドラグが出ないよう、スプールを指で押さえる事が重要です。

③失敗したら同じ行動を繰り返します。

重要なのは、リールを巻きながらロッドの竿先を水面に向け、ロッドを上に立てるように一気に水面に抜き上げる、ロッドの動かし方です。
この下から上に持ち上げる操作が重要で、魚が嫌がり泳ぐ方向を変えたり、水中に逃げ戻った時、即座に竿先を水面に向ける事により、危険水深から安心水深へ戻せます。




水面に抜き上げる時、魚の頭の向きに注意が必要!
タモ入れでは、『キャッチしやすい方向』と『キャッチしにくい方向』とがあり、上図のバツ印の方向の場合はタモ入れしにくく、マル印の方向の時は強引に引き上げ可能です。

特に船べりでのタモ入れは最悪で、ルアーのフックがタモに引っかかりタモ入れに失敗する事があるので、船べり方向へ魚が来た場合は一旦沈めるようにします。

抜き上げの際は、常に思い通りの方向へ魚を誘導できるわけではありません。
バツ印の方向を向いた時には『抜き上げを断念』し、ロッドの竿先を下げ、安心水深に魚を戻し再び”いなし”を実行!
再び頭の位置が良い方向に向いた時にチャレンジします。


ドラグ調整がキツメな方の対応方法
タモ入れに失敗した時、ドラグをキツメで使用されている方は魚が暴れる事があります。
この時は下図の様にリールの前からラインを強制的に引っ張り、素早く安心水深に魚を戻します。
ちなみに、私はドラグを使用しない釣り方ですので、リールを逆回転させラインを出し安心水深へ戻します。



尚、巻きすぎた場合、タモの準備ができていれば、そのまま強引に水面に浮かせてしまっても良いですが、タモの準備ができていない時には、ゆっくり・ゆっくりと魚を寄せ、安心水深で魚を”いなし”て、一息つかせておいてください。

■魚を水面に浮かせる場合の注意事項
下図の様にロッドを一定角度にしてリールを巻く動作だと、魚の位置が判断できない事が多く、うっかり魚を危険水深に持ち上げてしまう事があります。
魚の位置が推測できる場合以外は、ゆっくりしたポンピングで魚の位置を確認しましょう。



■まとめ
タモ入れのコツは、
①魚が船の側まで近づいたら、ゆっくりしたポンピングで安心水深へ浮かせてくる。
②安心水深で魚に一息入れさせ、警戒心を解く。
一息入れる際はリールは巻かず、ラインに魚のテンションを乗せたまま、安心水深を5~20秒泳がせる。

③魚が大人しくなったら、ロッドの向きを左右に引っ張り、魚を”いなす”行動に移る。
④魚の頭が自分の引っ張る方向へ向くまで魚をいなす。
⑤自分の思い通りに頭の方向を誘導できるようになったら、抜き上げの行動に移る。

⑥抜き上げの際は、魚がタモ入れしやすい方向を向いた瞬間に、リールを巻きながらロッドの竿先を水面に向け、ロッドを上に立てるように一気に水面に抜き上げます。
この時、ドラグが出ないよう、スプールを指で押さえる事が重要です。

⑦抜き上げに失敗したら、安心水深での”いなし”からやり直します。
〇タモ入れ成功!

タモの準備が出来ている時は、強引に水面に浮かせて一気に抜き上げても大丈夫です。
その際、暴れるようなら、安心水深に戻し①~⑦を繰り返します。

暴れない魚も多いので、タモの準備が出来ている時は速攻で浮かせても大丈夫です。


■暴れる要因を再認識!
ヒットした魚を一気に危険水深に持ち上げると、魚が暴れ水中に逃げ回る行動を取ります。
上下運動させるとフックが外れやすいので、一旦安心水深で一息つかせましょう。



魚が警戒している時は、リールを巻く行動を一旦止めましょう。
強引にリールを巻き水面に浮かせる行動を取ると、上図の行動を繰り返します。
この為、リールを巻かずに安全水深で一息つかせ、警戒心を解きましょう。



魚が落ち着いたら、魚をリードし、頭の方向を水面に向け、抜き上げてキャッチ完了です!


■ナイトゲームの注意事項
ナイトゲームでは水面にライトを照らすと、『魚が暴れ』フックが外れる危険性が増しますので、できる限り照らさないようにしています。
但し、照らさないとシーバスがどの位置で泳いでいるか確認できない時は、ライトを点灯させヤリトリする事をお願いしています。


ナイトとデイとの大きな違い
ナイトの場合、シーバスも人間同様に周りが見えないようで、デイよりすんなりと水面に浮いてきてキャッチできる場合もあれば、デイと同じように大暴れする場合もあります。



ナイトでは人間からも魚の姿が見えにくい事から、いきなり危険水深に魚を浮かせてしまうと、魚が上下に暴れ、タモ入れに時間がかかると同時にフックが外れる原因になります。

魚を暴れさせない為には、
基本と同じで、ロッドを上下させるポンピングで少しずつ水面に浮かせます。
そして、タモの準備できるまでは、安心水深で待機させ、一気に水面に抜き上げます。


ちなみに、ナイトの場合、いきなり水面で魚をバシャバシャさせると、タモ入れの際、魚の頭の位置が良く見えません。
タモを適当にバシャバシャしている付近に入れると、フックがタモに引っかかりバラシの原因となりますので、魚を目視して頭の方からタモ入れする必要があります。

尚、私事ですが、私は一般人の方に比べ夜目が利きます。
私の場合、水面下20~70cmの位置に魚を沈めてくれた方が良く見えますので、巻きすぎた時は、リールからラインを強制的に引っ張り出し、魚を安心水深に沈めてください。



■参考:赤色のライト
ナイトでのヤリトリの際、LED製の赤色ライトを使しても魚が驚かない事がわかりました。
暗いポイントで魚をヒットした時は、ご自身の判断でご使用になって頂いても大丈夫です。

ただ、光量が強い物を使用しても水中の状態が意外と見にくいのが難点です!
まだ、白色のLEDの光量を弱めにして使用した方が、水中の中の様子が良く見えるようです。


タモ入れの成功率
■一発でタモ入れが成功する確率
一発で成功する確率は、私が一人で行う場合と、私がタモを持ち、お客様が抜き上げる場合とで異なります。


□私が一人で行うタモ入れの成功率
安心水深から一気に水面へ魚を引っ張り上げ、一発でキャッチできる成功率は、55cm以上の魚で50~60%です。
40~50%の魚は、引っ張り上げる途中で危険を察し再び水中に潜ります。

この成功率50%にするには、『安全水深』で魚に一息入れさせ、”いなし”が成功した時の値です。
一回目のタモ入れの途中で水中に反転され、安心水深で再度いなした後、二回目のタモ入れの成功率は60~70%、三回目だと90%越えとなります。

ちなみに、私が魚をヒットさせ、お客様にタモを持ってもらうと、
「早く魚を引き上げなければならない」との焦りから、
安心水深での”いなし”が足りず、
一発での成功率が20~30%に落ちますので、焦りは良くないと感じています。


□私がタモを持ち、お客さまが抜き上げをしてタモに収まる成功率
お客さまの場合は、一回目でのキャッチ率は、『ドラグの強さと引き上げる力加減』で成功率が大きく変化しますので、成功率がどの位か申し上げる事ができません。。

ドラグの強さは釣り人により好みの強さがあり、タモ入れの際、水面に抜き上げる力加減も釣り人により異なります。
速攻派の釣り人もいれば、普通派・慎重派も多いので、どの程度の時間をかけるかはご自身のお好きで大丈夫です。


速攻派(ソムリエさん 店長さん 師匠の佐藤さん)
安心水深から、リールのスプールを押さえ、少々強引に、一気に水面に抜き上げます。
ドラグはキツメで設定されておりで、反転された時に出るラインの量も少なめです。

強引な釣り方は不思議とキャッチ率が高いのが特徴で、
「シーバスが暴れてフックが外れる前にキャッチしちゃおう!」の精神でヤリトリ&キャッチを行います。
ただ、フックが口ではなく顔周辺に引っかかっている場合は、皮が切れてのバラシが多くなります。


普通派(糸ちゃん わたちゃん めぐりさん)
安心水深から、リールのスプールを押さえ、一気に水面に抜き上げます。
ドラグはキツくもなくユルくもなくの加減ですので、反転された時に出るラインの量は普通です。


緩め派(マクーさん その他多め)
安心水深からの抜き上げに失敗が多いが、再度水中に潜った際のバラシが少ないのが特徴です。
取り込みまで時間が掛かりますが、ハリ外れによるバラシが少ない事から、緩めでの取り込みを好むルアーマンは多いです。

但し、当日の活性具合で、魚が暴れる上下運動でフックが外れが多い場合もあるので、当日の条件に合わせてドラグを強めにした方が良い時もあります。


速攻派・普通派・緩め派のいずれが良いか?
今までの経験から当日の状況でキャッチ率が変わるので何とも言えません。
ただ、魚が暴れる上下運動でフックが外れるケースが多いので、上下運動を少なくするとキャッチ率が増える事は確かです。

しかし、ドラグが強い速攻派の方は、口以外の場所にフックが引っ掛かった場合、フックが引っ掛かっている皮の部分が切れバラシの原因となります。
なので、どの取り込みが良いのかは当日の状況しだいとなります。
まあ、皆さんはお好きな方法でのドラグテンションで大丈夫です。

■レバーブレーキのリールを使う釣り方
ラインの出し入れをスムーズに行う為、レバーブレーキの付いたリールを使用するのも良い方法です。
昔、師匠の佐藤さんはレバーブレーキを使用していました。

レバーブレーキはラインをサーっと出したい場合に出せるので、船の真横で魚に急反転された時や、水面でエラアライされそうな時にラインを出し対処しやすいです。
また、ストラクチャーの側で魚がヒットした場合、ラインを出したくない状況が多々あります。
この様な時は強引にリールを巻きたいのでドラグが動いてしまうと困ります。



レバーブレーキの付いたリールを使うのは好き好きの問題ですが、シーバスを自分の思い描く方法でいなし、暴れたらラインを出し、リールが巻ける時は巻く方法が、私はべストだと思っています。
尚、私はレバーブレーキは使いませんが、リールを逆回転させラインを出す釣り方で対応しています。

★シマノからは、『ハイパーフォース LB』が販売されているので、興味のある方はチェックしてください。


参考: 優しいヤリトリで魚をキャッチする方法!
漁師として生計を立てていた頃、実践していたヤリトリの方法が『優しいヤリトリ』です。
優しいヤリトリとは、魚の動きに逆らわず、魚に警戒心を抱かせぬよう優しく船の下まで寄せ、エラアライしたい気持ちを利用し一気に水面に抜き上げキャッチする方法です。



「魚に逆らわず」とは、魚の動きに反発せずに寄せて来る方法です。

①魚がラインを引っ張った時はラインを出し対応。
②リールが巻ける時は、軽めのテンションでリールをゆっくり巻く。
③エラアライしそうになったら、ラインテンションを一気に緩め水中に戻す。

④魚が船の真下まで来たら2通りの対処方法があり、
すんなり表層に出せそうであれば、エラアライしたい気持ちを利用し一気に抜き上げタモ入れ。
人間の姿を見て暴れたら、安心水深で魚をいなして一息つかせ、チャンスを見計らい一気に抜き上げタモ入れ。
そんな感じで行います。

シーバスは面白い習性があり、ヒットした後、ラインを引っ張る力加減が弱めだと、自分がルアーやエサ釣りの針に引っかかっていることに気づかず、「アレ・アレ・アレ」と思っていることが良くあり、暴れることなく船に近づいてきます。

この気づいていない状態のままタモ入れ出来てしまうケースが不思議と多く、65~80cm級が10秒とか15秒とか、短時間でキャッチできる事が良くあります。

ちなみに、昔はタモをスグに出せる位置に置いてあったので、ヒットからキャッチまで5秒前後で行えることも良くありました。
魚が警戒しない力加減がわかると、速攻でキャッチできる事が多いです。

ただ、常に上手く行くはずもなく、暴れる魚は巻きアワセでフッキングした瞬間から暴れますので、優しいヤリトリが上手く行くか普通のヤリトリになるかは運しだいとなります。


シーバスの面白い行動としては、優しいヤリトリのまま魚を寄せて来ると、魚の気持ち的には「水面でエラアライしたい」と思っているようで、安心水深からの抜き上げの際、勝手に水面方向へ泳ぎ顔を出してくれますのでタモ入れが簡単になります。

尚、この優しいヤリトリを完ぺきにこなすには、リールのドラグを利用した一般的な釣り方ではできません。
それは、シーバスが危険を察知して勢い良く泳ぎ出した時、「サー」つとラインを出す必要があるからです。

現状、魚の動を判断しラインを出す事ができる方法は、私の様にリールを逆回転させてラインを出すか、レバードラグ式のリールを使用しラインを出すしか方法はありません。

なので、魚の動きに対し逆らわないラインの出し入れをすれば、魚は大人しいまま人間が主導権を取れると覚えておきましょう。

通常でのヤリトリの際も、魚がグイグイ引っ張っている時はリールを巻かない様にすれば優しいヤリトリに近づけますので、ゆっくり寄せて来る釣り方をすれば人間が主導権を取りやすくなりますので、皆さんも実践してみてください。

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